「２０２０年度大学入試（現在の高校２年生が受験する入試）から入試制度が変わります」


この話題はずいぶん前から注目されていました。

「センター試験がなくなるんでしょ？」
「英語が特に変わるんですよね？」
「国語や数学で記述式の入試が多くなる」

塾生や保護者の方と話をするとこういった内容が注目されています。
この中で数学についてはブログで紹介しておりますので、興味がある方は以下のページへどうぞ

大学入試改革の傾向と対策「数学編」へはこちら


さて、最近入試改革で最も注目されたことは

「大学入試英語成績提供システム」

の導入延期です。これは大学入試への「民間外部検定」を活用するための制度です。英検に代表される検定試験を受験し、その結果を大学入試に活用する目的で作られた制度でした。
来年度入試からの入試改革の１つの「目玉」でしたが、大臣の発言をきっかけにして、あっという間に延期となりました。
以下は文部科学省のページに公開されている「大臣メッセージ」からの抜粋です。

「以下、抜粋」
大変残念ですが、英語教育充実のために導入を予定してきた英語民間試験を、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、等しく安心して受けられるようにするためには、更なる時間が必要だと判断するに至りました。
大学入試における新たな英語試験については、新学習指導要領が適用される令和６年度に実施する試験から導入することとし、今後一年を目途に検討し、結論を出すこととします。
皆様が安心して、受験に臨むことができる仕組みを構築していくことをお約束します。今回、文部科学省としてシステムの導入見送りを決めましたが、高校生にとって、読む・聞く・話す・書くといった英語４技能をバランスよく身に付け、伸ばすことが大切なことには変わりがありません。グローバル化が進展する中で、英語によるコミュニケーション能力を身に付けることは大変重要なことです。皆様には、これからも日々の授業を大切にするとともに、それぞれの目標に向かって努力を積み重ねて頂きたいと思います。

「以上、抜粋終わり」


上記のメッセージから読み取れる重要なことは

・新しいシステムは令和6年からの導入を目途とし1年間かけて検討する
・英語の入試を4技能の学力をはかる試験に変えていくことにはかわりがない

ということです。情報が多くて混乱しやすいですし、今後もいろいろな変更がおこなわれる可能性があります。高校生や保護者の方にとって大切なことは「変更にいちいち反応しないこと」です。一部の子ども・保護者・学校、塾の先生からは

「せっかく対策をしてきたのに！！」

という声が聞こえてきますが、これは大きな間違いです。
そもそも試験のためではなく、英語の４技能（読む・書く・話す・聞く）の力を伸ばすために検定試験を活用していたでしょうから、検定試験向けの対策は英語の４技能力を伸ばすという意味では確実に成果が出ているはずです。
英語の４技能をバランスよく身につけているかを確認するための入試は予定通り行われていきますので、検定の対策が無駄になることはありません。

また、今回の話はあくまでも現在の「センター試験」に代わる試験での話です。つまり「国公立大学」には大きな影響がありますが、外部検定試験の導入が延期されても何も変わらない多くの私立大学では外部検定試験はとっくに利用されています。
例えば、英検２級（高校卒業レベル）を持っていることで「入試の英語を〇割換算にする」という私立大学はたくさんあります。実力としても国公立大学を受験する生徒は確実に英検２級レベルの力は持ってほしいところです。

つまり、外部検定試験の導入が延期されようが、「英検２級レベル」の外部検定試験の取得は必須といってよいのです。


そして、今回の入試制度の変更により、以前にも増して注目されるのは新テストの英語の試験です。現在のセンター試験と比較してみると・・・


【現在のセンター試験】
筆記・・・200点満点。
→発音やアクセント、文法問題、語順整序、長文読解などの出題

リスニング・・・50点満点　
→問題文などで読まれる英文は２回読み

※筆記とリスニングの配点比は「４：１」

【新テスト】
リーディング・・・100点満点　
→筆記ではなくリーディングと表現されています。発音やアクセント、語順整序などを単独で問う問題はなく、様々な英文から必要な情報を読み取る力が試されます。表やグラフや図などを読み取る問題が増えそうです。

リスニング・・・100点満点　
→問題文などで読まれる英文は１回読みと２回読みがある。

※リーディングとリスニングの配点比は「１：１」


となっております。今までの「文法や長文読解を中心とした筆記試験＋リスニングが少し」という英語の試験はなくなっていく流れになっていくでしょう。
リスニングの重要性が高まり、「リスニング対策」をきちんとおこなうことが必須となります。塾生の皆さんには、新入試の対策を確実に指導していきます。

決まっていたはずの入試制度が変更されています。国語と数学の記述式問題の導入も延期される見通しとなっております。しかし、記述式問題への懸念は「採点体制への懸念」であり、「記述式問題」導入の入試改革制度自体に対するものではありません。英語の入試制度もそうですが、

・記述式問題の増加
・英語の４技能の力を測る

という入試制度改革の大きな流れは変わらない見込みです。
制度の変更に振り回されないような勉強をしていきましょう。


愛知県美浜町の個別指導塾　今村塾
塾長　今村英之